(イベントレポート)夏の夜の上質なライブコンサート・・菖蒲館Summer Trio Concert
- 投稿日:2011.08.14
第2回目となる菖蒲館ロビーコンサート(2011年8月6日18:30開演)。今回は、サックス、エレクトーン、パーカッション、3人の奏者が繰り広げるトリオコンサートです。ちょうど夜空には夏の大三角が美しく輝く季節。菖蒲館の大三角はそれ以上に輝きを放つ、爽快でロマン溢れる演奏を聴かせてくれました。
新たな菖蒲館の魅力
今回からステージの設定がエレベーターと階段の前の通路となりました。フロアの中央で演奏されるため、客席のどの位置からも見やすく、何よりも音が響く響く! もともと設計段階からこの場所でのステージ利用が想定されており、菖蒲館の魅力をまたひとつ実感するコンサートでもありました。 また、この日は毎年恒例の落合夏祭り盆踊り大会と重なっていましたが、先月のロビーコンサートと同じく約80名の皆様にご来場いただきました。しかも、今回はそのうち約4分の1が子供たち。大人にまじって目をまるくしながら聴き入る姿が何ともほほえましく、それだけでこのコンサートの大成功を物語っていたように思いました。
3人の奏者の高い音楽性に圧倒
演奏はトリオだけでなくデュエットやソロも織り込まれ、和気あいあいとしたMCとメリハリある進行で時のたつのを忘れてしまうほど。しかもこの3人での協演は今宵のコンサートが初めてとのこと。そんなことを微塵も感じさせない息のあった演奏だったわけですが、個々の奏者の技術レベルの高さはもちろんのこと、音楽的コミュニケーション能力の高さをうかがい知ることができました。
サックスの日野林さんは、テナーサックス、ソプラノサックス、さらにはクラリネットと、3種類の楽器を使い分け、シングルリード楽器の魅力を余すところなく聴かせてくれました。彼の演奏がパワフルでありながらも洗練されたイメージを与えてくれるのは、おそらくその美しく流れるフレージングの妙技ゆえではないかと思いました。
エレクトーンの正木さんは、この楽器のもつ豊かな表現力を美しくコントロールしていました。その千変万化の表現力と構成力に感服です。特にソロで演奏したエルガーの「威風堂々」は、まるで菖蒲館ロビーがロンドンのロイヤルアルバートホールになったかと錯覚するような迫力あるオーケストラサウンドでした。
パーカッションの池松さんは、ラテンパーカッションの代名詞ともいうべきコンガをメインに、軽妙洒脱でありながらきっちりとアンサンブルを支えていました。今どきはエレクトーンだってシンセサイザーだってパーカッションの代役はいくらでもできますが、やはり人の奏でるリズムにはかないません。今宵のアンサンブルの立役者はまさに彼でしょう。
ますます楽しみな菖蒲館コンサート
選曲もジャンルや年代を問わず幅広く、3人の醸すアットホームな雰囲気も心和みました。一言で言えば、ファミリーで楽しむ夏の夜の上質なライブコンサートではなかったでしょうか。地域のコミセンだからといって決して妥協しないで質を求める、これが菖蒲館ポリシー。今後の菖蒲館コンサートがますます楽しみになる一夜でもありました。
(演奏)
サックス:日野林 晋
エレクトーン:正木 裕子
パーカッション:池松 寛治
(主催)
唐木田コミュニティセンター運営協議会 コンサート・イベント実行委員会
文と写真 小林和弘